オフショア開発とは?

2025-03-11

オフショア開発を成功に導く方法とは?メリット・デメリットを詳しく解説

本記事では、そもそもオフショア開発とは何か?オフショア開発の失敗はないのか?など、気になる一般的なメリットとデメリットをご紹介します。

はじめに

オフショア開発とは、システムやソフトウェアの開発を海外の企業や開発チームに委託する開発手法です。主にコスト削減や人材確保を目的として行われることが多く、日本の慢性的なIT人材不足を解消する手段としても注目されています。


オフショア開発のメリット

1.コスト削減

  • 労働力が安い国に開発を委託することで、開発コストを大幅に削減できます。

2.24時間開発体制

  • 時差を利用し、開発が24時間体制で進むことが可能なため、日本国内だけで開発を行う場合に比べて、納期を短縮することができます。

3.リソースの柔軟性

  • 日本に比べIT人材が豊富なため採用活動がスムーズに行えます。最初は小規模なプロジェクトでも、必要に応じてスケールアップすることができます。

オフショア開発のデメリット

1.言語と文化の違いによる課題

  • 言語や文化、習慣の違いから、意思疎通やプロジェクトの進行において誤解や遅延が生じるリスクがあります。特に、時間の考え方や仕事の進め方、優先順位の違いがプロジェクトに影響を及ぼす可能性があります。解決策としては、手厚いキックオフミーティングで期待や目標を明確にし、コミュニケーションツール(SlackやTeamsなど)を活用定期的な進捗確認と優先順位の共有することと、日本人のプロジェクトマネージャー(PM)やビジネスコミュニケータ(BSE)を入れることで、コミュニケーションの齟齬を防ぐことができます。

2.品質の管理が難しい可能性

  • リモートでの開発になるため、開発プロセスや品質の監視・管理が難しいことがあります。これに対しては、詳細な仕様書やガイドラインを事前に作成し、期待する品質を明確に示すことが重要です。また、定期的なコードレビューやテストプロセスの導入をすることで、品質を確保しやすくなります。

3.時差の違い

  • 時差があるため、リアルタイムの対応が難しく、プロジェクトの進行が遅れる可能性があります。共通の作業時間帯(オーバーラップタイム)を設定し、チームが一定時間リアルタイムで連携できるようにすることが効果的です。

このように、主にコミュニケーション部分や言語の心配はあるものの、ツール導入や日本人のプロジェクトマネージャー(PM)やビジネスコミュニケータ(BSE)を配置することでこれらの課題は解消可能です。たとえ追加のコストがかかったとしても、オフショア開発では人件費が安いため、トータルコストとしては大きなメリットを得られる場合が多いです。


オフショア開発における人気委託先の国々

オフショア開発で人気の6か国をご紹介いたします。

ベトナム

IT人材大国と呼ばれるベトナムでは、2024時点でのIT人材の平均年齢が33.1歳と若く(日本の平均年齢は49歳)、政府もIT産業の成長を強力に支援しています。特にホーチミン市やハノイには多くのIT関連の大学や企業が集まり、エンジニアリングの中心地として注目されています。ベトナムの魅力は、コストが低く、親日で勤勉な国民性、日本との時差が2時間と少ないことから、プロジェクト進行においてメリットになります。また、2005年から一部の中学校で日本語を第一外国語科目にしているため、日本語人材が多いことも特徴です。

フィリピン

セブ島には多くのオフショア開発拠点が設置されており、国内外のソフトウェア研究開発会社や、アウトソーシング会社、コールセンターなどの企業が集まったITパークというIT産業の特別区があります。2000年にフィリピン経済区庁よりIT産業の街として認められました。フィリピンにはIT・技術系の大学が多く、エンジニアの平均年齢も20代前半と、若いエンジニアが多いです。日本と文化的にも親和性が高く、日本との時差は1時間のためコミュニケーションがスムーズに取れます。一方で英語は広く使われ、国民の約9割が話せると言われていますが日本語ができる人材は少ない点が課題です。しかし、ビジネスコミュニケータ(BSE)を導入すればこの課題を軽減できます。

インド

オフショア開発のパイオニアとも言える国で、世界有数のITエンジニアを抱えています。技術レベルが高く、ソフトウェア開発やデータサイエンス、AI分野に強みを発揮しています。インドのオフショア開発はアメリカを中心に世界的に利用されており、日本でも、ホームセンター大手のカインズが2021年9月にインドIT最大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)と提携しています。一方で日本との時差は3時間30分差あり、コミュニケーションの遅れが生じる可能性があります。またコストが比較的高めであるため、コスト面でのメリットが少ないと言えます。

バングラデシュ

政府が掲げる「Smart Bangladesh Vision 2041」により、さらなるデジタル化が推進され、IT業界の支援に力を入れています。開発コストはインドやフィリピンに比べても安い傾向にあります。バングラデシュは親日国であるものの、日本語への関心は全般的にそれほど高くはないため、ビジネスコミュニケータ(BSE)を活用が効果的です。ただし、インフラが不安定で停電が頻発しているため、事前の確認や対応策を検討する必要があります。日本との時差は3時間あり、コミュニケーションが遅れる可能性も考慮する必要があります。

中国

高度な技術力を持つエンジニアが多く、特定の技術分野においては世界的にもリーダーとしての地位を確立しています。開発リソースが豊富で、高度な技術力を要するプロジェクトにも対応可能です。しかし、最近は価格が高騰傾向にあり、コスト面でのメリットはほぼ無くなってきています。また、米中貿易摩擦などの国際情勢の影響が日本にも及んでいることと、中国は「反スパイ法」や「国家情報法」によって、国の安全保障を理由に、情報やデータへのアクセスを強制できる権限があります。これらの法的リスクに対して、十分な対策を講じることが重要です。

ミャンマー

ミャンマーは他のオフショア開発国と比較しても非常に安価で、特に予算を抑えたい企業にとっては魅力的な選択肢です。日本との時差は2時間30分差あるため、コミュニケーションの時間調整は工夫次第で円滑に行えます。一方で、電力供給やインターネットインフラが十分に整っていない地域が多く、特に地方では通信環境が不安定です。日常的に停電が発生し、1日6時間停電することもあります。このような状況はプロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があるため、停電時のバックアップ電源の確保やインターネット環境の冗長化など、インフラ面でのリスク管理が求められます。また、プロジェクトのスケジュールには余裕を持たせ、突発的な遅延に対応できる体制を整えることが重要です。


オフショアでおすすめの開発手法とは?

オフショア開発ではどの開発手法を選ぶべきか悩まれることが多く、特に、アジャイル開発ウォーターフォール開発は主な選択肢として挙げられます。それぞれのメリットデメリットをご紹介します。

アジャイル開発

アジャイル開発は、短期間の開発サイクル(スプリント)を繰り返しながら、柔軟にプロダクトを進化させる手法です。この方法では、頻繁なコミュニケーションとフィードバックをもとに、状況に応じて改善を重ねていくため、プロジェクトが進む中で仕様変更や追加機能が容易に行えます。

メリット

  • 柔軟な対応:変更が多いプロジェクトや、ニーズが進行中に変わるケースに適しています。

  • フィードバックの即時反映:クライアントと開発チームが緊密に連携するため、品質の向上やクライアントの要望への対応が迅速に行えます。

  • 短期間の成果物確認:短い開発サイクルで成果を確認できるため、納品までの進捗が把握しやすくなります。

デメリット

  • 頻繁なコミュニケーションの必要性:遠隔地とのコミュニケーションが頻繁であるため、時差の違いがストレスになる場合があります。

  • 管理の難しさ:進行状況の把握が複雑になるため、日本人のプロジェクトマネージャー(PM)を入れる等の適切なマネジメントが重要です。

ウォーターフォール開発

プロジェクト全体を段階的に区切り、順番に進行していく手法です。要件定義、設計、開発、テスト、納品といった工程が明確に区分され、滝のように上流から下流へと順序に沿って進められます。この手法は変更が少なく、事前に十分な要件定義ができるプロジェクトに適しています。

メリット

  • 計画通りの進行:仕様が確定しているため、スケジュール通りに進行しやすいです。

  • 管理がシンプル:各フェーズが分かれており、進行状況が可視化されやすいです。

  • コスト管理がしやすい:予算やリソースの計画が立てやすく、コストの予測がしやすいです。

デメリット

  • 変更に弱い:一度決まった要件を後から変更するのが難しいため、柔軟性に欠けます。

  • フィードバックが遅い:開発が進んでから問題が見つかることがあり、初期の設計ミスがプロジェクト全体に影響を与える可能性があります。

プロジェクトの性質によって最適な手法を選択することが重要ですが、進行中に新たな課題や改善点が自然と見えてくることが多いため、柔軟に対応できるアジャイル開発をおすすめします。アジャイル開発は段階的に進めながら都度フィードバックを反映できるため、オフショアのようなリモート環境でもスムーズに進行可能です。
一方で、要件が確実に明確で、計画に沿って着実に進めたい場合にはウォーターフォール開発が有効です。


オフショア開発をうまく活用するには

オフショア開発を上手く活用するためには、パートナー選びコミュニケーションの強化が重要なポイントです。また、明確な要件定義やリスク管理、文化的な理解を踏まえた対応が求められます。これらを意識しながら進めることで、コストやリソース面でのメリットを最大限に引き出すことができます。
具体的には以下を参考になさってください。

1.信頼できるパートナーを選ぶ

オフショア開発の成功は、現地のパートナーの技術力や信頼性に大きく依存します。以下の点を確認することが重要です。

  • 日本法人があるか:日本法人が存在することで、営業や現地の開発チームとのコミュニケーションが円滑になります。日本語でのやり取りが可能なため、文化やビジネス慣習の違いも理解しやすく、誤解や行き違いを防ぐことができます。また、トラブル時の迅速な対応や品質管理が行いやすく、契約面での安心感があります。長期的な信頼関係を構築することができます。

  • 子会社以外の海外に発注していないか:問題が発生した際の責任の所在が不明確になることがあります。例えば、開発品質が期待に届かない場合でも、発注先が異なることで責任を追及しにくくなります。

  • 技術力や専門性の確認:過去のプロジェクト実績を参考にすることで、その企業が持つ技術や経験が自社のニーズに合致しているかを判断できます。技術者のスキルについても問い合わせると良いでしょう。

  • 納品が確実かつ適時に行われているか:過去の納品実績を確認することが重要です。納品後のサポート体制やメンテナンスが充実しているパートナーがおすすめです。

2.明確な要件定義とスコープ設定

プロジェクトの要件を明確に定義し、オフショアチームが誤解なく理解できるようにすることが重要です。なぜスコープ設定が重要かは以下の通りです。

  • 期待のズレを防ぐ: クライアントと開発チームが、プロジェクトで何が求められているのかを共通認識として持つことができ、後からのトラブルや誤解を避けることができます。

  • 予算と納期の管理: スコープを明確にしておくことで、プロジェクトに必要なリソースや期間を正確に見積もることができ、スケジュールやコストの超過を防ぎます。

  • 変更管理: スコープが定義されていると、プロジェクト中に発生する変更を適切に管理し、変更に伴う影響(追加コストや納期の延長など)を事前に計算できます。

3.リスクマネジメントを行う

リスクが発生した際に迅速に対応できるよう、リスクマネジメント計画を立てておくことが重要です。

  • 代替案やバックアップ計画の事前準備: 想定外の事態に備え、あらかじめ代替策を検討し、予備のリソースやプロセスを用意しておくことで、リスクが現実化した際の影響を最小限に抑えます。

  • 納期遅延やコスト超過への対応: スケジュールや予算に余裕を持たせ、万が一の遅延や予算の超過が発生した場合でも、プロジェクト全体に支障をきたさないように計画します。

これらのポイントを意識することで、オフショア開発の成功率を大きく高めることができます。


まとめ

オフショア開発は、適切な管理やコミュニケーションが求められますが、うまく活用すればコストやリソース面での大きなメリットを得られます。

株式会社Sprobeでは、プロジェクトマネージャー(PM)や開発現場責任者、ビジネスコミュニケータ(BSE)に日本人が入ることで、品質保持とコミュニケーションの課題を解決しています。
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