AI時代の開発手法: 設計駆動開発完全ガイド

2025-10-02

はじめに

生成AI(ChatGPT、Claude、Gemini等)に「タスク管理アプリを作ってください」と依頼すると、短時間で動作するアプリケーションが作れる時代になりました。

この記事では、AI開発時代における開発の流れと有効性について解説します。

AI開発

従来の開発 vs AI開発

図1

Vibe Codingとは

Vibe Codingは、生成AIに対して自然言語で要求を伝えることで、コードを自動生成する開発スタイルです。

AI開発ツールの進化

現在ではClaude CodeCodex CLIなどの登場によりプロジェクト全体のコンテキストを理解した上でコード生成・修正を行えるようになりました。

これによりシステム全体をAIだけで開発することが現実的に可能になったと思います。(規模によります)

開発者は仕様やアーキテクト設計をすることに加えて、プロンプト(AIへの指示)生成結果のチェックが中心となり、実際のコーディング作業量が大幅に減少できる可能性があります。

AIを活用した開発の革命的変化

AIの優れた設計・開発能力

AIは人間の平均能力以上のアーキテクチャ設計とコーディング能力を発揮します:

  • アーキテクチャ設計: 複雑なシステム構成も体系的に設計
  • コード生成: ベストプラクティスに基づく高品質なコード
  • レビュー能力: 包括的で詳細な品質チェック

AIへの過信は禁物ですが急速に性能が向上しているので実際に試してみて体験することが重要だと思います。

従来の開発方法との比較

項目 ノーコード ローコード AI開発 スクラッチ開発
開発速度 非常に高速 高速 高速 低速
技術的知識 不要 基本的な知識必要 プログラミング知識必要 高度な技術知識必要
カスタマイズ性 低い 中程度 高い 非常に高い
複雑なロジック 対応困難 限定的 対応可能 完全対応
初期コスト 低い 中程度 中程度 高い
保守性 プラットフォーム依存 プラットフォーム依存 コード品質次第 高い
拡張性 制限あり 制限あり 高い 非常に高い
学習コスト 低い 中程度 中~高い 高い
スキル依存性 低い 低い 中程度 高い
適用場面 簡単なアプリ・業務効率化 中規模アプリ・プロトタイプ 多様なシステム開発 大規模・複雑システム

AI開発の特徴:

  • プロンプト能力に大きく左右される: 適切な指示ができれば高速開発が可能だが、曖昧な指示では期待通りの結果が得られない
  • 実際の開発能力はスクラッチ開発と同程度: カスタマイズ性や複雑なロジック対応力はスクラッチ開発と同等(プロンプト次第)
  • 習熟による差が大きい: プロンプトエンジニアリングのスキル向上により、開発効率が大幅に変わる

AI開発手法について

AI開発手法の一例です。設計書は作成しなくても開発はできますがシステム全体を管理するうえで有用であり、特に大きなシステムを作る場合は全体の整合を取りながら開発するうえでも設計書は重要です。

設計書から作成するか、コードから書くかの正解はなく、イメージしやすいところから着手して段階的に広げていくのがよいと思います。

設計駆動開発を選ぶケース

  • 複雑なビジネスロジックがある場合
  • データ整合性やセキュリティを重視する場合
  • 既存システムとの連携が必要な場合
  • エンタープライズシステムやB2B向けシステムの場合
  • 長期的な保守性・拡張性を重視する場合

デザイン駆動開発を選ぶケース

  • **ユーザー体験(UX)**を最重要視する場合
  • デザインから始めた方が効率的と判断される場合
  • B2Cやコンシューマー向けアプリケーションの場合
  • プロトタイプやMVPでの早期検証が必要な場合
  • デザイナーとの協業が中心となる場合

設計駆動開発の実践フロー

設計駆動開発では、機能またはデータから開発を開始し、段階的にシステムを構築していきます。

デザイン駆動開発の実践フロー

デザイン駆動開発では、フロント画面のモックから開発を開始し、UIを中心にシステムを構築していきます。

AI活用のポイント

設計書の作成ノウハウ

AIに設計書を作成してもらう際のポイント:

  • 具体的な技術指定: 使用する言語、フレームワーク、データベースを明記
  • 機能要件の詳細化: 画面遷移、データの流れ、ビジネスルールを具体的に説明
  • 制約条件の明示: パフォーマンス、セキュリティ、運用要件を含める
  • 既存システムとの関係: 連携先システムやデータ形式があれば明記
  • Markdown形式の活用: フローチャート、シーケンス図、表なども表現可能で視覚的な設計書が作成できる

コードの作成ノウハウ

AIにコード生成を依頼する際の要点:

  • 設計書ベース: 事前に作成した設計書を参照させる
  • 段階的な実装: 最小機能から始めて段階的に拡張
  • エラーハンドリング: 例外処理やバリデーション要件を明確に指示
  • テストコード: 単体テスト、結合テストも同時に生成依頼

設計書とコードの相互チェック

設計書とコードを逐次作成していく場合は、相互のチェックを定期的に行うことで破綻を予防できます:

  • 整合性確認: 設計書の仕様とコードの実装が一致しているかチェック
  • 設計の見直し: コード実装時に判明した問題を設計書にフィードバック
  • 段階的検証: 各機能完成時に設計書とコードの両方をレビュー

まとめ

AI時代の設計駆動開発では、自然言語による段階的な指示がキーポイントです。

成功のための3つのポイント

  1. 具体的な指示: プロジェクトの文脈と制約をAIに正確に伝える(設計書やタスクリストの作成)
  2. 段階的進化: 小さく始めて徐々に機能を追加し、各段階で動作確認
  3. 人間とAIの協働: AIの設計・実装能力を活用し、人間が最終判断を行う

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